『急に電話なんて…どうしたの?』
「ごめん。あのさ、今日家に帰る?」
『当たり前じゃないっ!』
なんで聞いただけで怒られるんだよ。
「俺、友だちの家でBBQすることになったから…。」
『BBQ!?あんた、テスト前なのにいいご身分だね。』
…ごもっともです。
「だから、夕飯『わかった。いいもん!!!私は颯人とディナーするもんっ!ねっ。』
電話越しに颯人の『今日!?』とか聞えてきた。
全く、椿は俺だけじゃなくて颯人も振り回すのか。
颯人の未来が恐ろしいほど想像できる。
『用はそれだけでしょ?』
「それだけ。夕飯のことを言っといた方がいいと思ったし。」
『椿、マジで今日ディナーすんの?』焦った声が聞えてくる。
『するのっ!絶対にするの!!』
『でも、椿は明日までにレポート提出が…』
『とにかくするの!弟が楽しんでるのに姉1人が家で食べるのはなんかムカつく!!』
なんでムカつくんだよ。
しばらく椿と颯人の言い合いが続いた。
俺は黙って聞いてるだけ。
電話を切ってもよかったけど、なんか2人の言い合いが面白いから。
『颯人、あそこのレストラン予約するのっ!』
『もう、わかったよ。』
勝者、聖 椿。
『雅、ってことで私は高級レストランでステーキ食べるから♪』
''高級レストランでステーキ''という部分をやけに強調してきた。
「はいはい。じゃあな。」
俺は電話を切る。



