「あ、あのさっ!ちょっと他の部屋に置いてある物取ってくるね!」
急に俺の横で立って、部屋から急ぎ足で出て行く優貴。
「ふぅ…。」
優貴が出て行った後、なんとなく安堵してしまう。
もし、このまま優貴が隣でモジモジしてたら間違いなく俺は…
優貴を抱きしめていた。
モジモジしているけど、無理に微笑んで照れてる感じがした。
そして、優貴からは悲しい感じのオーラが出ていた。
初めて出会ったあの日の屋上での出来事のように、
俺は優貴を抱きしめていた。
だから、手が出る前に本人が出て言ってくれたことで免れた。
俺は、ソファから立ち、優貴の部屋を歩く。
机の前に来ると、ある物が目に入った。
「これ……俺が買ったのと同じ?」
机の上にある黒い箱の中に、俺が2ヶ月前に買ったのと同じ十字架のネックレスが入っていた。
でも、そのネックレスは半分に割れていた。
まるで、最悪な衝撃的な出来事でで割れてしまったかのように、
それが残酷に見えた。



