詰め終わったあと、俺は家を出た。
ほんのりと、夏を感じさせるような柔らかい風が吹いている。
「梅雨の時期なのにな…。」
梅雨の時期真っ只中のはずなのに、なぜか快晴。
たしか、一昨日まではずっと雨だったっけ?
「それより!早く行かねぇと悟がうるさいな。」
俺は、自転車を急いで扱ぎ始めた。
桜並木は、全体緑で、
風が吹くたびに陽が葉から漏れる。
木の下には、青い紫陽花が咲いている。
待ち合わせの場所に行くと、すでに悟るがいた。
「雅くんおっそーい!!」
「…キモっ!!やっぱ俺、家で食う。」
「いやいやっ!ちょっと待てよ!冗談なんだから!」
いくら冗談でも、限度っていうもんがあるだろ?
それに、教室でも''あっち系''の発言的なことをしたんだし。
遅れたのは俺が悪いけどさ、
猫なで声で『雅くんおっそーい!!』とか言われて…。
思い出しただけでも鳥肌が全身に立つ!



