「優貴、偽りの笑顔しなくてもいいよ。だけどあんまし無理すんなよ?」
俺は、優貴の頭をポンポンと優しく叩く。
「ほぇ!?私、そんな笑顔だったんだ…ありがとう。」
優貴はそう言うと鞄の中から教材を出して机に入れ始める。
俺も、鞄の中から教材を出す。
出し終わって、席に着くと、丁度よくチャイムがなった。
ガラッ
前のドアが開き、先生が入ってくる。
「全員揃ったわね。委員会を早く決めたいのでこのまま始めます。」
先生は黒板の方に向き、字を書き始める。
みんなは、委員会についてガヤガヤと話している。
学級委員に保健委員、図書委員、放送委員、整備委員、体育委員、文化的行事実行委員会の計8つ。
「今年は、文化祭をやるので体育祭実行委員会はありません。各男女1名ずつです。まずは学級委員やりたい人は挙手お願いします。」
シーンと静まり返る教室の中にスッと隣で何かが動くのが見える。
優貴の方を見ると手を挙げていた。
「釘宮さん…大丈夫なの?」
「やります。やらせてください。」
みんなはお互いに悲しい顔をしながら話している。
「優貴、本当に大丈夫なの?」
西崎が聞いてきた。
「うん。やりたいの。」
「釘宮さんを学級委員に承認する人は挙手お願いします。」
みんなの手が少しずつ挙がっていく。
俺も手を挙げる。
「はい、じゃあ女子の学級委員は釘宮さんね?釘宮さん、あんまり無理しないで何かあったら相談してね。」
「ハイ。」
なんでこんなにも先生とみんなは心配するのだろうか。
釘宮って何気に問題児とか?
そんなわけなさそうだけどなぁ。
「じゃあ男子の学級委員は?」
先生が話すけど、男子は誰も挙げない。



