「雅、気にしなくて大丈夫。」
悟は、俺が思っていたことを感じ取ったように言ってくれた。
ガラッ
西崎がドアを開ける。
ドアが開いたその先の教室の景色は、
驚きの色でいっぱいだった。
西崎の後をついて俺たちは教室に入る。
クラスの視線が俺たち4人を示す。
俺は、気づかない素振りを見せて席に鞄を置いた。
鞄を置くと、優貴が突然「えっ…」そう言ったんだ。
「どうかした?」
「う、ううん。聖って席ここだったんだね…。」
そう言う優貴は切ない顔で俯いてしまった。
「優貴?」
「だ、大丈夫!何かビックリしちゃっただけだから。」
顔を上げて笑う優貴。
でも、その笑顔は偽りだったとその場で分かった。
昨日見せてくれた初めての笑顔は、瞳まで輝いていた。
でも、今は瞳が輝いていない。



