何なんだ?
それに、坂木さんはさっき『いるわけがないのに。』そう言ってた。
いるわけがないってどう意味?
死んだ、とか?それとも外国にいるとか…?
もし、外国に行ったのだったらそこまで悲しい顔したりするか?
俺だったらしないな。
でも、あの人は俺じゃないし(笑)
まっ、そんな深く考えなくても俺には関係ねぇだろ♪
それより、さっさと選んで帰らないと椿が怖い。
「これでいっか。」
俺は、赤い椿のネックレスを手に取る。
値段もまぁまぁだしな。
よし、これにしよ。そう思ってレジに持っていく。
…正確には持っていこうとした。
でも、レジに向かう途中に星がデザインされたアクセサリーばかりのコーナーがあって、
俺はついついそこに行ってしまう。
「あ、あのっ、ひ、雅くんは星がお好きなんですか?」
突然、坂木さんに話しかけられた。
しかも、名字で呼ぼうとして名前に急遽変えて呼んだ感じだし…。
学校の教師も、俺のことを名前で呼んでいた。
悟のことは''神田''と言っていたのに。
「好きですけど…。それがどうかしたんですか?」
「いえっ、何でもないんです。あっ、それよりその椿のネックレスお持ちいたしましょうか?」
「あっ、ありがとうございます。」
坂木さんの手にそっと椿のネックレスを置く。
「誰かにプレゼントですか?」
「まぁ…。」



