キミの隣に僕がいる


今日はなぜか時間が早送りされたように、

あっという間に放課後となっていた。

「雅、一緒に帰ろうぜ?」

「いいけど、道は?」

「そうだった。雅はどの辺に住んでる?」

「駅の方だけど。」

「じゃあ一緒に帰れるな!」

無邪気に笑う悟が、どこか懐かしく見えた。

それは俺の錯覚で、実際は懐かしくない。

だって今日初めて悟とは会ったのだから。

俺たちは階段を降りて駐輪場に向かう。

「雅…俺、雅に会えてよかった。」

もうすぐ沈む夕日を前に、

自転車を扱ぎながら悟が言った。

でも、その言葉は俺に言ってるはずなのに、

俺に言われてる言葉じゃないような気がしたんだ。

俺じゃない。

誰かに…

言っているように聞えたんだ。