アキ「麟太郎君!」
彼女は俺の荷物も持って追いかけて来た
リン「俺、急いで帰んなきゃ」
言葉と反して俺は足を止める
リン「林さん、家まで送れなくてごめん」
名前を言い直す余裕なんてない
俺は彼女から自分のバッグをぶんどって
急いで帰路に着いた
―――
彼女の視線が背中に刺さる
でも仕方ない
林さんのことは好き
勿論!
………
………
でも
鈴
俺には鈴が大事だ
鈴には俺しかいない
俺にも鈴しかいない
俺しか鈴を守ってやれないんだ
鈴は昔から強がりなところがある
でも母さんが亡くなってから
弱さも見せる様になった
家族皆での生活
それが当たり前でない俺達には
存在だけで安心
だなんて“まやかし”は効かない
ただお互いに支え合って
すがり付かないと
生きて行くことなんて出来ないんだ
………


