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人気のない廊下は
屋上と比べるとさすがに寒くなかった
だけど空気は冷たい
以前の緊張感がなくなった俺達は
ただ二人横に並んで歩いていた
「寒い」と口にしたり
冷えた手に吐息をかけたり
そんな小さくて儚い音だけが聞こえる
………
リン「……どうしよっか」
小さいけど林さんには聞こえただろう
多分お互いに疑問だったこと
だけどあの刹那の余韻から現実に引き戻されるのを拒んで何も言わないでいた
――でも昨日とは違う
俺はこの安寧を壊してみたかったのだ
林さんは俺の方を見た
アキ「……何のこと??」
そうは言うけど
察しはついているのだろう
もうあの赤はない
リン「この後だよ」
俺も林さんも授業をサボっていた
授業が終わってから
荷物をこっそり取りに行っても良いが
いずれ先生に呼び出しをくらうだろう


