Alice Doll

 その他、桃のタルトも、カボチャのモンブランも、チーズケーキも、全てが魅惑の美味しさだった。小さいサイズだが、逆にそれが、胃にもたれない程度で丁度良い。


 もしかして、その作ってくれた人というのは、昨日の夕食の人と同じだろうか。

 確か、名前は……。

「よいだに、さんが?」

 由衣の言葉に、セリアは大きく頷いた。どうやら当たり、らしい。

 ならば、先日の夕食の件も含めて、できれば直接、その人にお礼が言いたいのだが。

 セリアに乞うが、明確な返事は得られず、彼女の視線は奏の元へ向かう。
 視線を追うと、奏とぱっちり目があった。色素の薄い青い瞳が、吸い込まれそうだが、とても綺麗だ。

「それは構わないよ。その方が彼も嬉しいだろうしね。ただ……」


 その本人が後ろにいたりするんだけどね。


 奏の言葉に驚き振り向くと、大柄の男が少しきまずそうに立っていた。