少女の名前は宮音由衣。今年の四月、高校二年生になった。
 真っ黒な肩胛骨(けんこうこつ)辺りまであるストレートの髪を後ろで一つにまとめている。肌の色は白いが健康的な白さ。運動をしているといって十分通じる程度だ。慎重も体型もどこにでもいる凹凸のない普通といわれればそれまでの少女。

 しかし彼女にはとりわけ目を惹くものを持っていた。


 それは目だ。


 二重だがパッチリ、というわけでなもなく、至って平均的な大きさの目。だが、その色は純粋な日本人なら決して有り得ない色だ。まるで硝子玉のようなラムネのような淡いブルー。カラーコンタクトだろうと言われることもあるが、それは純粋に彼女自身の色だ。

 しかし、彼女の目も元々はその髪と同様に黒かったなどと、誰も…──両親でさえ知らない。否、覚えていない、の方が正しいのかもしれない。




 由衣は学校帰り、学校での噂話を思い出していた。誰もが噂としか取らないその話。彼女も最初は彼らとどうように笑い、有り得ない、などの反応をしては楽しむ一員だった。
 そんな彼女が変わったのは一年ほど前からだ。

 そう、あの大量の人形が屋敷の外に現れたときから。






***