今まさに玄関のドアノブを持っていた手を放し、わたしに振り向いた。 「なに。」 慎治は、眉間にシワを寄せ、わたしを見つめた。 「えっ…、と」 "さっきはごめんね" 心の中では言えても、口がなかなか動かない。