桜が散る。
桃色が青い空に舞い、
あたしはそれを見上げ
紺色の膝丈スカートを握りしめた。
にぎやかな場所から離れて、
約束をした人たちを待つ。
隣にいる彼は、
しゃがみこんでアリの行列を見ていた。
コンクリートに点々と続くそれを見て
彼は何を思うのか。
あたしは彼から目を離して、再び空を見上げた。
「先輩たち、遅いね」
「いろいろあんだろ」
「そうだろうけど」
「卒業式の後に来るんだから、
いろいろあんだろ。
写真撮ったりとか、卒アルに寄せ書きしたりとか」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…