穏やかな時間の流れ。
ささやかな朝食。
目の前で莉香がすました顔で食事をしている。
そんな時のなかで食パンをかじっていると、あることが頭をよぎった。
「これって、どうなのかな?」
「どうって?」
莉香が目玉焼きから目を離して俺をみた。
「朝飯もうまいし静かだし、すっげー普通な朝だけどさ、俺らが一緒にいることは不思議っつうか…異常なんだよな。他のやつからみれば」
莉香の大きな瞳には俺がくっきり映っている。
「……だから?」
莉香は低く落ち着いた声で一言だけぽつりと落とした。
その、しっかりした発音に俺が動揺した。



