数分後、結局俺は莉香の数歩後ろで外灯に照らされる莉香の背中を見つめながら歩いていた。 莉香と俺は一言も言葉を交わそうとしない。 華奢なその肩は触れたら音を立てて崩れてしまうだろう。 そんなことを、ぼんやり考えていた。 「ここだよ」 莉香の立ち止まった先を見上げると、そこにはボロアパートが一件ぼんやり建っていた。