「……コーヒー飲まないの?」 「あ…あぁ…うん」 生返事をして飲んだコーヒーはミルクも砂糖も入れ忘れてて苦くて思わず顔を歪めた。 「ママ、元気にしてる?」 ぽつりと生まれた言葉は消えそうなくらい小さくて簡単に聞き落としてしまいそうだ。 だが幸い、俺は聞き落とさなかった。 「あぁ、たぶん。元気にやってるよ」 「……そっか」 そう呟いた莉香の顔は深く俯いていて分からなかった。