ふと見た時計は夜の二時を指していた。 「……もう夜遅いよ?帰らなくていいのか?」 「いいの。ママ、家にいないし」 「仕事?」 「違う」 「じゃあどこ?」 莉香はブランコを止めて俺の顔をジッと見つめた。 透き通るようなその瞳に、息をすることを忘れさせられる。 「……教えてあげよっか?ママの居場所」 ブランコから飛び降りた莉香は“ついてきて”と一言放った。 俺は何も理解していないまま、莉香の後についていった。