「何やってるの?」 俺の声で、莉香はこちらを向いた。 あの突き刺すような瞳で。 莉香を乗せたブランコの速度がゆっくりと落ちてきて、やがて、とまった。 「いいよね」 「え?」 唐突な言葉に俺は首を傾げる。 「ブランコって、いいよね。このままどこか遠くへ連れていってくれそうな気がする」 そういう莉香は儚く笑っていた。 夜空には、星なんてみえないのに、空を見上げていた。