─Quality of love─




彼女は俺の存在に気づきふと顔をあげて、透明な眼差しで俺をみたかと思うと


特に興味なさそうに、またフッと視線を黒猫の方に戻した。







空に昇ることができなかった雨が滴り落ちてくる地上で


俺と彼女は

その黒い、以前生命だったものを見つめた。



黙祷するわけもなく
顔をしかめるわけもなく
泣くわけでもなく



ただ、見つめた。