全部の授業が終わったとき、時計は6時をまわったところだった。
筆記用具を適当に鞄のなかに投げ入れて、席をたち講義室をあとにした。
寒さで肩を震わせながらジャンパーのポケットに手を押し込む。
吐く息は白く、凍てつく空気がつきまとう。
寒さで顔をしかめながら校門をくぐりぬけようとしたとき「潤!」と誰かが俺の名前を呼んだので反射的に足がとまり振り向いた。
「ご飯食べにいこうよ!」
そこにいたのは、友人の高瀬杏奈だった。
ショートヘアがよく似合うボーイッシュな容姿で性格も活発。
わりと気軽に話せる相手だ。
「いいぜ、杏奈の奢りだろ?」
「ばーかっ!」
杏奈はそう言って屈託なく笑いながら小走りに俺の隣について歩き始めた。



