『消えちゃうかもしれない』 その言葉と莉香がベランダの手すりに身を乗り出した姿が立体的に目の前に広がる。 血の気がひいていく。 心臓が痛いくらいに高鳴り、嫌な汗で掌がベタついていた。 「オイオイ……冗談じゃねーよ…」 ぽつりと呟いた言葉と共に額から汗が流れた。 「莉香?!おい!!返事しろ!!」 ドアの力強く何度も拳で打つ。 「返事しろって!!オイ!!入るぞ?!」 勢いよくドアを開けてスニーカーのままリビングへ向かった。