「バカかお前!!もし俺が間に合わなかったら自分がどうなったかわかってんのかよ?!?」 俺の叫び声が青空に吸い込まれていく。 心臓がもの凄いスピードで鳴り響いている。痛いくらいに。 しかし俺とは反対に莉香は冷静だった。 焦点をしっかり一点に定めた虚ろな瞳で静かに呟いた。 「……そうね、人間は簡単に消えちゃうから。そんなものに執着するのってよく理解らない」 莉香の言葉がズシンと脳に響いた。 消えてしまうんだ。 簡単に。 突然に。 そんな儚いものに翻弄されている日常なのか。