強くこぶしを握り締めて、ゆっくり歩いた。
昨日と同じ景色と人の姿・・・。桜吹雪が勇気をくれた。

「来てくれると思ってた。らくがきって君だよね。」

とてもやさしい声…。チャラい服装や光るピアスに似合わないほど、優しくて甘い・・・。

「ね、星 鈴夏さん♡」
「えっ、なんで知って…」
「オレ、望月 日向っていいまーす。」
(しってるよぉ~)

少しの沈黙が続き、日向が大きく息を吸ったのがわかった。

「オレ、星さんのこと好きだから・・・」
「!!!!」

顔が一気に赤くなるのがわかる。

「らくがきで初めて注意されたときは、ビクった。
でも、ずっとらくがきしながら
話してて、超たのしかった。
オレ、変なうわさとかあったから…」

「噂?」

「そう・・・なんだっけかなぁ~
女好きで、先輩から後輩まで彼女が10人以上いるとかいうヤツ?
 そんなに女の子としゃべるの得意じゃないし。周りにいるのはみんな友達だしぃ。」

笑いながら話している日向だが、つらかったのは間違いないだろう。
頑張って笑いながら話しているという感じだった。