何度も何度も笑って、いろんなことを話した。
初めてのデートに戸惑う鈴夏を日向は優しくエスコートしてくれて・・・。
日向が鈴夏の頭を優しくなでるとき、手をぎゅっとひいた時、無邪気に笑った時、鈴夏は胸がきゅーっとなった。

「今日は、とっても楽しかった!ありがとう、日向君!」

日が落ちてきたころ、笑顔で鈴夏は言った。最近、笑顔の数が自分でも増えた気がする。

「いえいえ~、俺も超たのしかったし。鈴夏めっちゃかわいかったしぃ~」
「!!」

ぶんぶんと頭を振る鈴夏を見て、日向が笑う。

「ちがうくないよ~、事実でぇーす☆」

楽しい会話を続けながら、2人の足取りはゆっくり進む。

ー日向君。私、まだ夢みたいだよ。日向君の隣を歩いてるなんて・・・
 まだ、日向君と話すの緊張する。一つの言葉を口に出すのにすごい勇気がいるの。
 ほんと、夢みたい。夢ならずっと覚めないで・・・。

桜が夜風で舞う。夕焼けが桜の木の人影をそっと写しだいしていた。
でも、二人は気づいていなかった。影もこれから起こることにも…。