「鈴夏が、大丈夫でもオレがいやなの!!鈴夏のこと悪く言われるとムカついてくる。」

鈴夏は、嬉しかった。一生懸命かばってくれて…。

「ねえ、今度の日曜日空いてる?どこかいかない?」
「え、空いてるけど…それってデート!?わたし、したことないからわかんない…。」

鈴夏がちょっと悲しそうに言うと、日向は笑顔で言う。

「じゃあ、おれが一番じゃんねぇ~嬉しいな♪んじゃ、おれが決めるよ。」
「わかった。楽しみにしてるね。」
「おうっ!!」

日向は、鈴夏を家に送ってくれた。遠回りなのに…

「うぅぅぅん…。」

鈴夏は、悩んでいた。今日は土曜日、初デートは明日。何をしていいのか、何を着ていけばいいのか。わからないことばかりで、鈴夏は首をかしげている。

「はぁ、かわいい服なんてもってないよ。そもそも出かけるなんて、スーパーくらいだし…」

クローゼットを開けて、閉めて。タンスを開けて、閉めて・・・。

「愛に話して、貸してもらうかぁ~。でも、恥ずかしいな。」
(…変な格好していって日向君に笑われるよりいいよ、ね?)

「ねえ、愛(めぐみ)…服貸してくれない?」

自分の部屋で音楽を聴いている愛(めぐみ)が鈴夏のほうを向く。その顔は、ぽかーんと大きな口を開けていた。愛は鈴夏の二つ下の妹で、鈴夏とは顔も性格も全然似ていない。むしろ正反対。明るく元気で、ファッション、メイクに興味ありありのTHE女の子という感じだ。
2人の部屋はカーテンで遮られているようになっている。

「えっなんで!?おねえちゃんがおしゃれに興味持つなんて、雪でもふるんじゃ・・・」
「雪って・・・。あ、あのね、明日デ、デートなの…。」

顔は下を向き、声がだんだん小さくなる。