ズキン。胸が痛む。 でも、きっと取り巻きがなんと言おうと和紀なら…。 そんな淡い期待を抱いていた。 ―――でも。 「あ〜、はいはい。 そうだね。 人魚姫は海に帰れってことだね」 そう、和紀が言った。 「きにすんなよ。時雨」 那波が前から手を引っ張って、校門を通り過ぎる。 通り過ぎるさいに和紀が私に気がついて、笑って手を振ってきた。