人混みではぐれない様にと彩乃と手を繋いだ。

少し緊張した。

「あっ、風音さん」

円藤が神社の朱い鳥居の下に座っている風音を見つけて指を指してる。

風音は白っぽい浴衣を着ていた。裾に流水柄が入っているがパッと見て、死装束かと思いドキリとした。

オレは関係ない。

「誰か待ってんだろ」

そう言って先に進もうとするが、円藤たちの視線が背中に刺さる。

彩乃が違う学校で良かった。

歩いていると子供が泣いていた。

親とはぐれたんだろう。

わんわん泣いている。

だが遠巻きに見ているだけで誰も声をかけたりしていない。

「あの子可哀相」

彩乃のが小さく呟いた。

小さな子は苦手だったが、彩乃の前で少しだけ良い所を見せた方が良いかと思った時、目の前を白い浴衣が通った。