「…国咲が、心配だったから、来た。」
俺がそう言うと、思い切り顔を歪ませ、憎々しげに睨んできた。
「嘘つき。
お前なんか、死ね。」
そう言ってまた不気味に笑い出す国咲。
精神的異常。
きっと国咲は、溜まりきったストレスが爆発して、こうなった。
原因は、俺だ。
だから、俺がなんとかしなくては。
解決策を考えていると、
国咲は急に俺にしがみついた。
「えっ……。」
まさか、本気で殺す気か…?
恐る恐る国咲を見ると、先ほどと変わっていつもの可愛い笑顔を浮かべている。
「…山城。」
その笑顔から涙がこぼれる。
「…あたしのこと、どう思ってる?」
「…………好きだよ。」
偽りはない。
お前のこと、好きだ。
だから…戻ってくれ。
「好きだけど、付き合えないの?」
「…俺は、女と付き合わないって決めてんだ、20歳まで。」
涙を流しながら微笑んだ国咲は、儚かった。
「………もう、遅いよ。」
そう言ったとたん、ふっと国咲が消えた。
その途端、視界に入った悍ましい光景。
「………うっ……。」
足がガクガク震えた。
吐き気さえした。