あの日からわたしは彼のもの。知らない人は「もの」と一くくりにしてしまうのかと言うけど実際わたしは彼のものなのだ。

「お帰りなさい」

「おー」

仕事から…正しくは仕事が終わってから行ってきた女の家から帰ってきた彼を迎える。

微かにシャネルの香水の香りがした。

高級感が溢れるような綺麗な香りに劣等感が増した。わたしにはシャネルは似合わない。




「飯」

「今日はハンバーグだよ」

「…つーかたまには和食作れよ」

「じゃあ大根おろし乗せる?」

「和風ハンバーグなら和食になると思うなよハンバーグは何をしても洋食だ馬鹿」


文句を言いながらも箸を進める彼。
ごめんね、わたしちゃんとあなたが和食好きなこと知ってるよ。でも和食じゃなくても食べてくれるあなたを見るのが好きなの。

その時だけはあなたの周りにいる女の人に勝った気持ちになれるから。