かたつむりの恋心

「今度、傘を折られたら。」

「あっ……」

上村葉丞の手が、文芸部室の片隅にあった、赤い傘を掴んだ。

ばきばきに折られている。

「裏庭で見つけた。おまえのか」

「……」

ナツメはうつむいた。

「俺を怒らないのか」

「あなたがやったんじゃないから……」

「なぜわかる」

「…………」

「……ごめん」

顔を上げると、彼は相変わらずしかめっ面だった。

怒っているのではなく、困惑していた。

「泣かせるつもりじゃなかった。……悪かった」

ナツメは床にぺたんと座り込んだ。

そして、今度は声を殺さずに泣いた。