胸の鼓動が鳴りやまない。
初めてじゃないのに、
やっぱり初めてみたいな感覚で。
恋をすると人はいつでも
『こんな恋初めてだ。』
なんていう錯覚に陥ってしまうみたい。
でも、それは間違ってるとは思わない。
だって、今、
鼓動が鳴りやまないは、
野上くんだけのせいだから。
「あと...1つ約束。」
「なに?」
「あいつ、真夏の前で果物は食べるな。」
真夏...あぁ、弘斗かぁ。
「...?なんで?」
「約束破んなよ。」
そう言ってあたしの好きな人は
あたしのてっぺんに手を置いて、
ポンポンと優しくたたき
いつの間にか到着していた教室に
スーッと入って行った。

