ずっと鼻をすすってばかりのあたしに、
澪は頭をなでて優しく聞いた。
「...旭、だよ。」
「うん。迷ってないじゃん。」
「へ...?」
「恋愛はときに人を傷つけ。我も傷つく。
あたし。記憶力いいからさ、
小説のフレーズずっと覚えてるの。」
澪はあたしの涙目の前で、
潔くピースを作った。
「でも...。」
「でも?」
「弘斗もあたしにとっては大事で...」
「うん。」
澪は頷きながら聞いてくれた。
「それでも旭のことは誰にも渡したくない...。」
「弘斗を傷つけるなんてありえないの...。」
「もう分かんないんだよっ…。」
泣きながらそういうあたしの手を、
澪はやさしく包んでくれた。

