大体、学年トップと2位の座を争う あたしと賭けの勝負なんて、 野上くんも意外といい度胸してる。 「じゃ。絶対勝つかんな。」 「はいはい。」 野上くんがあんなにムキになった表情、 初めてみた気がするのは、気のせいでしょうか。 でも、なんで野上くんが人気があるのか、 いまだにあたしは、まったく。わからない。 「あっ。野上くん!」 あたしはハッとなって、 教室に戻る野上くんを呼び止めた。 「運んでくれて、ありがとね。」 野上くんは無表情でうなずいただけ。 なんも言ってくれなかった。