そのころあたしたちは...。
学校の最寄り駅まで走り、
息を切らしながら
太陽に照らされた額をハンカチでぬぐう。
「遊園地でも行くか?」
弘斗はハンカチで首元をあおぎながら言った。
「でも...お金は......。」
「大丈夫。ほら。」
いかにも高級ブランドの財布を
後ろポケットから取り出した。
「あたし...財布学校だ...。」
「好きな女に払わせるほど、鬼じゃねーよ。」
好きな女...。
その一言で、
あたしの頬が熱くなるのがわかった。
「行くぞ。」
またあたしの手を握り返して、
弘斗は改札口へ走った。

