そしてあるとき僕は美術館に足を運んだ。

そこに一際目立つ絵が飾られていた。アスターがあたり一面に先ほこり、そしてその絵の題名は、私はずっと見ていたよと書かれていた。

僕はその絵にくぎづけになっていた。後ろに気配を感じていたが絵に夢中になっていた。

「気に入りました」

「ええ、とても」

「これは私が描いたんですよ、電車の中でいつも見ていた彼のために」

僕はゆっくりと振り返るとあおいが立っていた。

「ただいま、けん。私も電車の中でずっとあなたを見ていたのよ。だから紹介もうけたし、あなたと初めてあった橋で花火だってしたのよ」

僕はたまらなくなりあおいを抱き寄せた。そして「おかえり」と。

僕たちの恋愛は、はじめから百パーセントの気持ちで通じあっていたんだ。

「ながく待たせたね」
「待ったのは僕だけじゃないだろ、それにこれからじゃないか」

「うん」

僕たちはお互いが心にアスターを咲かせていたんだ。