先ずは夏美に報告しなくては。条件のクリアと問題点を。携帯とはたかいものだ。基本料だけで、僕の毎月のお小遣は遥彼方へ飛んで行ってしまう。
夏美を探して校舎を駆け回り、ふと、思いだした。「はい、携帯を手に入れたら鳴らしてね」っと手渡された紙。携帯ショップのお姉さんがなにやら説明してくれたがさっぱり理解出来なかったし、まして説明書なんか読むタイプじゃない。

メールなら通話料いらないんだったな。だけどメールを打っても返ってきた。エラー。

僕は仕方なく、電話することにした。トゥルルとコールするがなかなかでない。僕は苛立っていた。

「もしも」と声が聞こえた瞬間に僕は「どこにいるんだよ」、と少し声をあらげて言った。

「もしもし、どちら様ですか？」

「僕だよ、謙だよ」

「けん？誰です？間違ってませんか？」

「え、夏美じゃないの」と、会話している渡り廊下の向こうに夏美がいる。夏美はすたすたと僕の所までやって来て、固まった僕から携帯を取り上げると会話を始めた。

「あ、あおい、夏美だけど、うん、、そう、ごめんね。また連絡するね。」

夏美は不適な笑みを。メモリの１番にあおいが登録出来るね。でもちゃんと本人から聞くまで掛けちゃだめよと言った。

悪魔だよ。こいつは希代の天才軍師だ。