* ふんふふーん、と鼻唄を歌う幸太郎くんはなんだか楽しそうだ。 特に変わりもないまま、事務所にたどり着いた。 「おっきー…」 「ほら、行くぞ。」 「あっ、うん!」 社長に会うんだよね? だったら失礼のないようにしないと! 「すみません、」 「あ、新人さん?エレベーター5階へどうぞ。」 受付の人がニコニコと幸太郎くんを見る。 ありがとう、と言って歩きだした。 (ちょっと、かっこよくない?) (私も思った!) ――ズキンッ その言葉を耳にして、不思議な痛みに襲われたまま。