「あっ、なんだよ、あれ。」


林くんが走り出した。


走り出し先を見れば、男の人五人に囲まれてるきらり。


きらりは笑顔。


怒ってるな、あれは。


「清水くん、行こう。」


走り出そうとしたら、腕をつかまれた。


「走るな。」


なんで?


「英二[エイジ]行ったから大丈夫。
喧嘩とかにはならないよ。」


えいじ?


この話の流れで考えれば、林くんの名前だよね。


初めて知った。


カラオケ店でも、苗字だけだったし。


「聞いてるか?」


あっいけない、林の名前覚えてる場合じゃない。


「聞いてるよ。
でもきらりが。
行かなきゃ。」


「だから、走るなって。
見てみろよ。」


清水くんが言うので、きらりを見れば、なごやかに五人と話してる林くん。


「あれ?
からまれてたんじゃ。」


さっきの怒ってる笑顔のきらりじゃなくなってる。


「英二は場の雰囲気つかむのうまいんだ。
だから喧嘩にならない。
任せとけば、大丈夫だから。
だから走るなよ。」


わかったけど、なんで走るのとめるの?


腕もつかんだままだし。