「なぁ、もうそろそろ行かないか?」


清水くんの声。


「う、うん、そうだね。」


つっかえてしまった。


みんなでぞろぞろと歩きだした。




「告白できた?」


きらりが小さな声で聞いて来た。


「ううん、まだ出来ない。」


私も小さな声で答える。


「なら、よかった。
トイレ告白男覚えてる?
あの男がテニス部副部長だったのよ。
さっき偶然会って、カラオケに誘われたの。
行く気なかったけど、清水が行くって聞いたから。」


ありがとう、きらり。


「あと、テニスコートのバカ王子は、そんなにバカ王子じゃないみたいだしね。」


ウィンクしてくるきらり。

なんだろ、清水くんと何かあったのかな?



「さっき大丈夫だった?
なんだろうね、あの人。
腕見せて。」


突然普通より大きめの声で話し出すきらり。


なんだかよくわからない。

「アドレス教えてくれって、教えてくれるまで離さないって言われた。」


私も、とりあえずさっきの小さな声でなく普通の声で会話する。


「あー、腕赤くなってる。
ひどーい。
そんなにアドレス欲しいなんて、狙われてるー。」


うん、そうだよね。


あんなに私のアドレス欲しいなんて、きらり狙われてるよね。


「大丈夫?」


みんなを先導して歩いていた清水くんが、なぜか私の隣にいた。



「見てー、赤くなってる。
ひどいよねー。」


清水くんに私の腕を見せる。


さっきから、きらりが変だ。


目の奥で笑ってる気がする。