思わず目をつぶる。 目を開ければ花壇が見えてしまう。 箱はない、箱はない、箱はない………。 自分が傷つかないように、呪文のように繰り返す。 鍵を返すだけ、鍵を返すだけ、鍵を返すだけ……。 何度も呪文を繰り返す。 体が震える。 鍵をにぎりしめ、目を開ける。 「くっはっ………。」 涙で前が見えない。