先週うちに来た時、なにげなくつけたテレビをじっと見つめる奈津美。


『オープンキッチンでイケメンシェフ………』


情報番組らしく、イケメンシェフ特集だった。


なんか真剣に見てる?


興味あるのか、イケメンシェフに?


「あっ、見て見て、今度ここ行くの。
なかなか予約とれないんだけど、きらりがとってくれて。
すごい楽しみなんだ。」


嬉しそうに話す奈津美。





………楽しみ?





このニヤついた顔で、レポーターと話してる男の店に行くのが?





この男の手でさわった物を、奈津美が食べるのか。




嫌だ。


嫌だ、嫌だ。


ぞっとする。


気持ち悪い。


我ながら自分の心の狭さはどうかと思うが、嫌な物は嫌だ。


でも、楽しそうに話してる奈津美に『行くな』とは言えない。






その日から、俺は料理を初めた。


創作料理なんてものは出来ないが、料理本通りに作ればそれなりの物が作れる事がわかった。


料理本通り、調味料も材料もくるいなく作る俺の作り方は、料理と言うより理科の実験のようだった。