高校を合格すると、すぐに理事長に呼ばれた。


理事長やテニス部顧問らが並ぶ理事長室で、理事長は、俺を応援すると言った。

卒業生や地域から寄付を募り、万全な体制を作ると。


そして、我がテニス部を全国優勝に導いてほしいと。




こいつらには俺自身が見えているんだろうか?





見えてるはずがない。





こいつらに見えてるのは、ありえない未来。





俺がテニスで活躍し、学校の名前をあげてくれる未来。





俺の意見も聞かず、感謝しろと言わんばかりの理事長たち。





………付き合っていられない。





高校でテニス部に入らない事を伝えれば、あれほど楽しそうに話していた理事長の顔色が変わった。


『悩みがあるなら相談にのるよ。』


『スランプなんて誰でもあるんだ。』


『………』


『………』


黙っていたらなぜだか俺は、スランプで悩んでテニスを辞めようとしている少年と言う事になっていた。


理事長の顔を伺ながら、代わる代わる俺に声をかける先生たち。


なにかがおかしい。