なんで、俺とは手紙だけなんだ。


他の男とは話すくせに。


そんなに俺と話したくないのか。


嫌だ。


嫌だ。


嫌だ。


他の男と話す小瀬は嫌いだ。





俺を見てくれ。


俺だけを見てくれ。





むなしい日々が過ぎていった。





俺はテニスに打ち込んだ。


またテニスに逃げ出したのだ。


もう女にはいかなかった。


欲しいのは小瀬だけだと、はっきりわかったから。


勉強も、いつもテストで一番をとれるように頑張った。


張り出されたテスト上位者に、いつも一番でのる俺の名前。


見てくれ俺を。


名前が載れば、小瀬は必ず名前を見るはず。


ただそれだけのために、テニスで疲れても勉強に手をぬかなかった。






それでも何も変わらない日々。


俺はだんだん夢を見るようになった。


夢の中では、俺は小瀬を『奈津美』と呼び、話し触れて、愛をささやいた。


目が覚めれば、学校で小瀬を見ているだけ。


そのあまりにも違う差に、頭がおかしくなりそうだった。