結局声をかけられなかった。


なんなんだ?


俺の体に何が起きた?


それからは、学校で気がつけば小瀬 奈津美を目で追っていた。


あれほど楽しみだった手紙が、楽しくなくなった。


いや、楽しみではあるんだが、読むとなんだか胸がキュウとなる。


いったいなにが起きた?


こんなふうに今までなった事がない。


俺病気か?







「なにボーとしてるんだ?
部活行くぞ?」


いつの間にか授業が終っていたらしい。


同じテニス部の、林 英二が迎えに来ていた。


こいつは、俺が認めたやつだ。


「なぁ、ある子にさぁ、声かけたいのに、かけれないってなんだと思う?」


「はぁ?」


こいつ何いってんだ?って顔に書いてあるな。


でもこいつは余計な事は聞かない。


「その子の事考えるとどうなる?」


ふむ、考えるとか。


「嬉しいような、苦しいような。
胸がドキドキする。」


「じゃあさ、その子が男と仲良くしてたら?
彼氏とラブラブとかさ。」


彼氏?


「ムカつく。」


なんだこれ?


すげー、嫌だ。