「帰れると思ってんのか?」


ちょっと、なによ正兄。


「正兄、幸治くんがあいさつしてるのに何その態度。「バカ奈津美はだまってろ。」


正兄に話しを止められる。

なっ、なによ、正兄。


「清水、マジで帰るつもりか?」


「はい、帰ります。
おじゃましました。」


ハッキリ答える幸治くん。


凛々しくて、すごいステキ。


「お前、バカだな。」


いかにも呆れた態度の正兄。


さっきからなによ。


「清水くん、奈津美の部屋で何してたの?
この風の音がわからないなんて。」


音?


竜兄の言葉で、窓を見てみる。


ザーッ、ザワザワ、バーッ。


すっ、すごい。


春の嵐?


ものすごい強風で、庭の草木が倒れてる。


竜兄の言った通り、音もすごい。


家が軋んでるみたいだ。


なんで今まで気づかなかったのかがわからない。


幸治くんも窓を見て驚いてるみたい。


正兄じゃないけど、これじゃ帰れないよ。


とても自転車で帰れる風じゃない。


「おい、清水、部屋で何してたんだ?
この風がわからなかった訳、聞こうじゃないか。」