「あーー。」


突然、両手で髪の毛をかきはじめた幸治くん。


なっなに?


「なんか自分にムカつく。
そんな余計な事言わなきゃよかった。
あっもちろん『すてきな人』って言った俺の気持ちは真実だから。
もう奈津美の事好きになってたんだ。
奈津美から手紙来なかったから、会うの嫌なんだって思って、俺声かけらんなくて。
あー、なんかもったいない。
あの時、話していれば、答合わせしていればもっと早く付き合えたんじゃないか?」


あの時から両思いだったなんて。


私は力強く頷いた。


幸治くんの顔が歪む。


「あー、もう自分が嫌だ。」

ベットに座りうなだれる。

私も隣にそっと座る。


「あのね、うまく言えないんだけど。
今まで思い続けたから、今があると思うの。」


手を伸ばして重ねる。


「これからは答合わせして行こうね。」


幸治くんの顔が上がる。


「そうだな。」


重ねた手を、ゆっくりと指でなぞられる。


「聞いて奈津美。
まだ聞きたい事あるだろ。」


あるよ。


あるけど、聞いていいの?