「ごめんな。」


涙を拭いた後も、優しく頬をなでながら、何度も謝ってくれる幸治くん。


嬉し泣きしたなんて、とても恥ずかしくて言えたもんじゃないけど、このまま幸治くんを謝らせる訳にもいかないよね。


「違うの。
あっあのね、嬉しくて。
嬉しくて泣いたみたい。」


「えっ?」


頬をなでていた手が止まる。


「嬉しかったの。」


恥ずかしくて、小さくなる声。


「えっと、嬉しくて泣いたの?」


頬から手が離れる。


「うん。」


小さく頷く。


「嫌なことなかった?
少しでもあったら、なんでもいいから言って。
答合わせだよ?
俺達思っている事言おう。
思っている事、すれ違わないようにさ。」


言ってもいいのかな?


「嫌って言う訳じゃないんだけど。」


「うん。」


「私ね、ファーストキスだったの。」


「うん。」


私の話をきちんと聞いてくれる幸治くん。


「それでね、次がセカンドキスでしょう?」


「まぁ、そうだね。」


「五回はわかったんだけど、なんだかボーとしてきて、キス何回したかわからなくなっちゃったの。」


「くっ、くっふ……、何回キスしたか数えてたんだ。」