唇に幸治くんのしっとりとした唇が触れたと思ったら、すぐに離れる。


「大好きだよ。」


「可愛いよ。」


「もう離さない。」


「ずっと一緒だよ。」


キスと甘い言葉が交互にふってくる。


なんだか頭がボーとしてくる。





「奈津美、ごめん。
もうしないから泣かないで。」


泣く?


目を開ければ、歪んだ幸治くんの顔。


涙?


目が涙で潤んでる?


耳に涙が流れる。


「ごめん、俺とまんなくなって。」


離れていく幸治くんの体。

幸治くんに抱きしめられた温かい肌に、冷たい空気が触る。


幸治くんはベッドのすみに座り、こちらを見ている。


私も起き上がり、ベッドに座る。


目に溜まっていた涙が、頬を伝う。


「ごめん。
何度もキスして。
もうしないから、泣かないで。」


離れていた幸治くんが近寄り、頬の涙を優しく手で拭かれる。


私、なんで泣いた?


キスされて、悲しい事なんて何もなかったのに。


ボーとしてたんだけど?


何度もキスされて、何度も甘い言葉を囁かれて、嬉しくて、ただ嬉しくて。


もしかして、嬉し泣き?


私、キスされて嬉し泣きしたの?