「あっあのね。
同じ中学校の人いるよ。」


なんとか顔を上げて話してみる。


「そうだね。
見た顔何人かいる、二年か一年生かな?
こっちチラチラ見てるよ。」


気づいてたの?


「うわさになっちゃうんじゃない。」


「うわさになるだろうね。」


クスクス笑う清水くん。


なんでそんなに嬉しそうなの?


私の事なら、うわさすら嬉しいみたいに。


すごく私を好きなのがわかる。


それはわかるけど、なんで清水くんが私ごときをそんなに好きなのかが、まったくわからない。


そして、なんで頬をなで続けてるのかも、まったくわからない。


「清水くん、あの、手が。
手を止めてほしいの。」


「うん?
手がなに?」


顔は上げたけど、とてもじゃないけど清水くんの方は向けなかった。


だから聞こえにくかったのか、清水くんに顔をのぞきこまれる。


紅茶色した瞳が、甘く私を見る。


「なに?」


もう、なんか私泣きそうかも。


ずっと好きだった清水くんが。


大好きだった清水くんが。


嬉しくて、恥ずかしくて。


もうなんだかわからない。