「しっ清水くん、人が。」


「うん?
ああ。」


周りを見て、清水くんも気がついたみたい。


「人の恋路は邪魔したらダメ。」


私を抱きしめたまま、小学生たちにこやかに笑って、手を振っている。


「チェッ、ケチー。」


ブツブツ言いながら、小学生たちがベンチから立ち上がり歩いて行く。


「大丈夫、もう行ったよ。」

「ごめんなさい、突き飛ばして。」


「気にしないで。
恥ずかしかったんだよね。」


「うん、すごく恥ずかしかった。」


って言うか、今も恥ずかしい。


なんで抱きしめられてんの私?


「小瀬さんは恥ずかしがりやさんだね。」


甘い声に、髪をなでる優しい手。


無理、これ以上は体が持たない。


心臓もたない。


恥ずかしくて、恥ずかしくて、どうにかなりそう。


「清水くん離して。」


「なんで?」


……『なんで』って。


「人前だよ、恥ずかしい。」

「ふーん、人前がいやなの?」


普通そうじゃない?


「恥ずかしいよ。」


「わかった。
俺ん家行こう。」




はっ?